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2005/01/22

僕と彼女と…僕の生きる道

昨日うちの産婦と歯科口腔の教授が世話役になって催す、講演会みたいなのに行ってきました。
理由は友達に誘われたことと、講演会後の懇親会(酒あり)に期待して…ですが。

題目は『身体的治療に対する、精神科や緩和ケア科の関わりについて』みたいな感じ。
最近腫瘍内科というものに割かし興味を持っているので、癌患者にうつやせん妄を伴う人が多いと聞いて、なるほどなと目から鱗な気分でした。
確かに癌患者のケアというのは身体的なものだけじゃないですもんね…。

癌という病気を聞くと俺は、何だか色んな事を感じます。
自分の体の一部で、自分自身が死んでしまう病気…すごく意味深に感じるのは気のせいでしょうか。
人間は歳を取ればいつかは必ず癌にかかります。現在これだけ癌が増えているのは、ひとえに人間の寿命が延びたから。
平均寿命が50歳の昔と比べてしまえば、いわば長寿になった人間だからこそかかる「贅沢病」なのかもしれません。
しかし、人間はそれさえも薬を使って克服しようとしています。

先週呼吸器内科でStageⅣの肺癌患者さんを担当させて貰ったんですが、その人が使っている薬は「イレッサ」という薬でした。
少し前に話題になったので、知っている人もいるでしょう。
商品名:IRESSA…一般名:Gefitinib(ゲフィチニブ)、肺の非小細胞癌を選択的に叩くために開発された分子標的治療薬(※下参照)です。
人間は本来自分の分身である癌の中にまで違いを見つけ、そしていかに自分達のみが生き残るかを模索しています。
しかし癌にも抗がん剤の長期使用に対して、耐性を獲得するものがいます。
人間が自らの身から生じたがん細胞を殺そうとする。その分身は殺されまいと必死に身を守る術を身につけ生きる。
しかしがん細胞が持つ抗がん剤への適応力は、宿主である人間が持つ「生きる力」そのもの。
うまく表現出来ませんが、一つの体に生まれた双子がその占有権をめぐって争っている図…とでも言いましょうか。
何だか因果な病気のような気がしてなりません。

あ、ちなみにタイトルは某ドラマのパクリです…。
一つの体に生まれたSelfishな僕(人間)と彼女(癌)…二人は同じモノでありながら、相容れない存在なのでしょうか。

――※ 分子標的治療薬 ――
同じ人間から出来たものでも、正常細胞と癌細胞にはやはり違いがあります。
そのポイントを標識にして癌細胞を選択的に叩く事で、体に与える副作用を極力少なくする薬が分子標的治療薬です。
イレッサが開発された当初は「夢の薬」と言われていましたが、重篤な副作用が結構な頻度で起きうる事、
また延命効果が無い事などがわかり、その使用について色々と騒がれました。
しかし患者のQOLを改善する効果がある事から、現在日本では手術不能な例、または再発性肺癌に対してのみ適用があります。

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