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2010/03/05

法律事務所のCM

ここ数年、法律事務所のCMが増えていますね。過払いした利息を取り戻せるとか。
何でここ数年で急に増えてきたのか気になっていたので、ネットで検索したら
下のような背景が見えてきました。

弁護士、司法書士ともに2000~01年に広告が解禁され、03年には司法書士が
条件付きで民事訴訟に参入できるようになった。
その結果、司法書士が扱った裁判外和解手続きの件数は、08年に03年の49倍
(約54万件)に急増するなど、弁護士と司法書士との競争が激化。弁護士人口も
今年9月には1990年の倍近い約2万7000人までふくれあがり、同業者間での
競争も激しい。地下鉄車内などでは、法律関係事務所の広告があふれているが、
CM急増はそんな競争激化の一つの表れだといえる。

(2009年11月4日 読売新聞より抜粋)

ふーん、って感じ。
最近日本人のテレビ離れで番組にスポンサーが付かなくなって、
CMを流す業種が限られてきたのも一つの原因とか。
最近見たCMはほとんど車 or 携帯 or パチンコ or 過払い請求な気がしますよ。
後はヒアルロン酸やらコラーゲンやらの健康サプリメント類。

どれも、胡散臭いものばかりですねぇ……。

ついでに過払い請求の法律的な背景も調べてみました。
ちょっと長いですが、興味があれば見てください。

~・~・~・~
過払い請求が話題になっている法律的背景
~・~・~・~


元々金貸しには「利息制限法」という法律があり、貸した額によって付けられる金利が
制限されていた。(具体的には貸した額により、15~20%以内) これには罰則規定が無い。


しかし、もう一つ金銭の貸し借りに関する法律として、「出資法」という法律があった。
こちらはお金を貸すときに29.2%より高い金利を付けると、
「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し」ますよ、と書かれている。
つまり、この金利以上での契約を結んだ時点で罰せられるのである。
よって、金融業者にとってはこちらが事実上の利息上限となっていた。

この利息制限法以上、出資法未満の幅の金利をグレーゾーン金利と呼んでいた。
(ちなみに、これ以上の金利を付ける業者は闇金と呼ばれる。)


さて、利息制限法では原則として、このように書かれている。
「この法律で規定された以上の利息を課された時には、払う義務は無い」と。
つまり、借主は基本的に利息制限法以上の金利を払う必要が無いはずである。

しかしその原則には例外があり、同法には、
「超過部分を利息として任意に支払った場合には、その返還を請求することができない」
(=つまり、納得して払ったのなら契約は有効)という項目があった。

さらに、賃金業法という法律には
「利息制限法以上の金利であっても、一定条件を満たせば有効な利息の債務の弁済
として認められる」という一文があった。この弁済を「みなし弁済」と呼び、
金融業者はこれを上手く利用して利息制限法以上の金利で金を貸していた。


じゃあ利息制限法なんて意味無いじゃん!!……と思われるかも知れないが、
この「みなし弁済」が認められるためには厳しい条件があった。それが以下。

(a) 貸主が貸金業登録業者である場合。
(b) 借主が返済金を(元金ではなく)利息と認識して支払っている場合。
(c) 借主がその利息を任意で支払う場合。
(d) 契約時に貸金業規正法第17条の要件を満たした書面を交付している場合。
(e) 弁済時に貸金業規正法第18条の要件を満たした領収書を交付している場合。

(d), (e)は項目に関する細かい規定があり、
上記が「全て」揃わなければ、その弁済は無効となる。


さて、ここでようやく元の話題に返ってくるわけだ。
何故今、過払いの問題が取り沙汰されているのか。

今まで多くの人がこの「みなし弁済」を盾に、高金利で金を借りさせられていたが、
ちゃんと調べると、上記全ての条件を満たしている業者は少ない事が分かった。

例えば(c)の「任意で」という欄では、強迫などにより支払った場合、例えば
「おい、返さないとどうなるか分かってんな?」などと言われたエピソードがあれば、
もちろん適用外。
更に、利息制限法の上限金利を知らずに支払った場合も「任意」となならないので、
「そんな法律知りませんでした!」と言ってしまえば、借主のゴネ得となる。

また当時の無人契約機では(d),(e)に必要な書類が具備されておらず、
細かい事項まで完璧に記した書類を揃えている金融業者もほとんど居ない。
このような点からも、過払い請求は借主の利益で終わる事が多いのである。


という事は大した労力も無く、裁判となってもほぼ勝てる案件であり、
(実際は、裁判をやるまでもなく金融業者が過払い請求に応じる)、加えて10年くらい前はやたらに金融業者(アコム・アイフル・レイクなど……)のCMが盛んだった時期で、
その時生まれた債務者が現在大勢居るとなれば、法律事務所としてはまさに狙い目。
がっつりCMを展開して儲けてやろうという図式なわけである。
更には上に述べたように、司法書士や弁護士との客の取り合いや、
弁護士過剰などの現状もあり、今CMでは数々の法律事務所が熱い戦いを
繰り広げているという現状である。

~・~・~・~・~

……俺は専門家では無いので、間違っている記載があれば教えて欲しいですが
概ねこういう事だと理解しました。
社会の仕組みの複雑さを垣間見たようなbackgroudですね。
こういう仕組みを放置しているお上と、上手く利用している業者。
まったく嫌気がさします。

全ての人が無計画に金を借りたという訳では無いと思うんですよ。
しかし過重債務に苦しんだ彼らは、今後更に法律事務所にも金を払うわけで。
金持ちは常に金持ち、貧乏人は常に貧乏、というまさに資本主義の縮図です。
まぁ、一部で完済した人の過払い請求ってのももちろん出来るそうですから、
一概には言えませんが。

さらに過払い請求をした債務者達は信用情報機関に登録され、
カード決済やローンに影響が及ぶ(つまりブラックリストに載る)らしいです。
当時はその金利で借金する事を合意の上で契約したのに、
今になってそれを翻すのですから、そりゃまぁ嫌がられますわな。

ちなみに現在では、出資法の上限金利を20%に引き下げ、貸金業法の上限金利を
利息制限法と同一とし、みなし弁済の廃止する事などが既に法案として可決されているそうです。

しかし、過払い請求に対しても法外な相談料や報酬を求める事務所もあるそうで。
世の中、気を付けないといつ足元をさらわれるか分かりません。
こわやこわや。

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