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2010年3月17日 (水)

一次性頭痛まとめ① 診断編

慢性頭痛の整理

頭痛というとprimaryでは怖い頭痛の除外診断がやはり第一に挙げられる事が多いが、
予後的には怖くないけれど患者のQOLに大きな影響を与える慢性頭痛に対するアプローチは
教科書的知識しか持ち合わせておらず、とりあえず鎮痛薬を処方するというお座成りな診療に
なっているような気がしたので、一度ここに整理しておく。

~・~・~・~

まず、頭痛は大きく一次性頭痛と二次性頭痛に分類される。

一次性頭痛は主に
① 片頭痛 (以下、[片])
② 緊張型頭痛 (以下、[緊])
③ 群発頭痛 (以下、[群])
④ その他

の4つに分類される。二次性頭痛は、クモ膜下出血など器質的疾患を含む。
問診における、特に①~③の比較ポイントを自分なりに整理。まずは痛みのOPQRSTから。

・O(Onset):発症様式 

※ 超急性発症の頭痛は、二次性頭痛疑い。

[片] 比較的急に増強(<1時間以内)覚醒時~午前中が多い。
[緊] 徐々に増強。午後から。
[群] 急速(<10分)に増強。午後~夜間。または睡眠中

・P(palliative/provocative):増悪・寛解因子

[片] 日常生活動作(歩行・階段昇降)で増悪するのが特徴。他に光・音過敏。
    誘発因子としては様々あるが、赤ワイン、チョコレート・チーズ・ストレス(解放時にも⇒週末)・
    睡眠(過多・不足)・月経・温度差・天候・旅行など。
[緊] ストレス・動かない事などあるが、日常動作では増悪しないのが[片]との鑑別点で重要。
[群] アルコール・ニトログリセリン・ヒスタミン、睡眠不足、昼寝(REM睡眠と関係あり)

・Q(quality/quantity):症状の性質・ひどさ

[片] 中~重度。
[緊] 軽~中等度。
[群] 重度~極めて重度。

・R(region/radiation):場所・放散の有無

[片] 片側性、拍動性頭痛。ただし約4割は両側性。
[緊] 両側性・非拍動性で圧迫感・絞めつけ感。
[群] 片側眼窩・眼窩上部のえぐられるような頭痛。

※ ただし、拍動性の[緊]もあれば、[片]+[緊]の合併もある。

・S(associated symptom):随伴症状

[片] 前兆を伴う(約70%)ものと、伴わない(約30%)もの、両方ある。
    前兆は完全可逆性の視覚・感覚・言語障害である事が多く、5~20分(<60分未満)持続し徐々に伸展する。
    陽性症状(閃輝暗点、チクチク感)と陰性症状(視覚消失、感覚鈍麻)がそれぞれある。
    また、嘔気・嘔吐、光・音過敏を伴う。刺激を避け、じっとしている

[緊] 悪心・嘔吐はない(食欲不振は時にある)、光・音過敏はあってもどちらか一方。
[群] 頭痛と同側に結膜充血・流涙・眼瞼浮腫・鼻漏・鼻閉・縮瞳などを伴う。痛みに耐えきれず興奮し動き回る

・T(time course):時間経過

[片] 頻度は月数回で持続時間は4~72時間(小児は1~72時間)
[緊] 頻度は様々(月1日~15日以上)、持続時間は数時間~ずっと
[群] 5分~10分以内にpeakに達し、15~180分(多くは120分以内)続く。
   群発期には2週間~3ヶ月、ほぼ毎日頭痛が出現し、それが終わると約1年間の寛解期に入る。

さらに……

・患者背景

[片] 20代(男性)~30歳代(女性)発症が多い。40.4%に家族歴を持つ。精神疾患(うつ病・躁病・パニック障害・不安障害)とも相関がある。
   他、高血圧・脳血管障害・てんかん・喘息・アレルギーなどとの共存症が示唆されているが一致した見解は無い。
[緊] 好発年齢ははっきりしていない。良く肩こりとの関連が言われるが、
    片頭痛患者にも肩こりを随伴症状として訴える者が7割程度おり、鑑別にはそれほど有用でない。
[群] 20~40歳代の男性でヘビースモーカー、大酒家が多い。遺伝性要因も強いとされる。

・疫学

[片] 年間有病率は8.4% (男:女 = 1:4) 30~40代女性だけに限定すれば有病率は約18%に及ぶ。
[緊] ちなみに日本人の生涯有病率は30~78%。
[群] 頻度は稀。人口10万人中9.8人。(男性 15.6%, 女性 4.0%)


正確には二次性頭痛に分類されるが、見逃しやすいものとして薬物乱用頭痛というのが存在する。
診断が良く分からない場合、頭痛薬を安易に処方していた自分も気をつける必要がある……。

「1か月に15日以上出現する片頭痛様(+ 緊張型頭痛様)頭痛で、3ヶ月以上の頭痛薬服用歴がある。
 また1か月に10日以上(週2~3回)その薬を服用している場合」に疑う。


とりあえず代表的な慢性頭痛の相違点として、典型的には上記のような違いが認められる。
実臨床では片頭痛と緊張型頭痛との合併も少なくないので、クリアカットには行かないが……。

また慢性頭痛診療ガイドラインには、以下のようなアルゴリズムが載せられている。

Zutualg1

Zutualg2

治療は別項で。

--------- 3. 19 追記--------

■ 朝方(起床時)頭痛 鑑別

カフェイン依存症、二日酔い、CO中毒、DM患者の夜間低血糖、睡眠時無呼吸症候群、
脳腫瘍、うつ、肺疾患、副鼻腔炎、早朝高血圧、歯ぎしり など……

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参考資料:
臨床雑誌 内科 頭痛・めまいの治療(Vol.103 No.5)
慢性頭痛の診療ガイドライン 第1版
頭痛大学 
今回の勉強中に見つけましたが、内容がとても詳しいです。
頭痛の勉強なら本を買わずとも、このサイトだけで十分ではないかと思いました。

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