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2010年4月12日 (月)

免疫染色マーカー

原発不明癌の時に病理から帰ってくる免疫染色の結果。
実は良く分からない……ので、触りだけでもと思って調べてみた。
今回染色されていた抗体は以下。新しい染色法と出会い次第随時追加。

・ EMA …… 上皮系マーカー
・ Cytokeratin ……上皮系マーカー
・ p63 …… 上皮系マーカー。特に咽頭癌、低分化扁平上皮癌で発現多い。
・ TTF-1 …… 甲状腺濾胞細胞由来。しかし肺癌(原発性、転移性、中皮腫)の鑑別にも利用。
・ Vimentin …… 間葉系(非上皮系)マーカー
・ PAX5 …… 汎B cell マーカー。リンパ腫の鑑別に有効。ただし形質細胞は陰性。
・ Desmin …… 筋原性腫瘍マーカー
・ SMA …… 平滑筋・筋上皮細胞由来の腫瘍の鑑別に有用。
・ ER …… Estrogen依存性増殖をする癌細胞 (乳癌や子宮内膜癌?)

続きは上記抗体に関して
・ 株式会社 協同病理
・ 免疫組織データベース「いむ~の」
からの記事抜粋メモ。

■ Epithelial Membrane Antigens (EMA)  

種々の上皮細胞に検出され(特に乳管上皮など腺管細胞の表面に強い反応をみる) 上皮性腫瘍の鑑別に利用される。ただし、腫瘍では抗原構造に変化が起きることがあり全ての上皮性腫瘍で同じ反応性が得られるわけではない。特に扁平上皮系では反応は不均一で、また中皮腫や滑膜肉腫などでも反応することがある。


■ CYTOKERATIN
ケラチン(サイトケラチン)は上皮性細胞の細胞骨格を成す中間径(直径8~11nmほど)フィラメントである。
Polyclonal抗体では重層扁平上皮全層にわたり陽性。 CK1/10では基底層を除き陽性。逆にCK5/14では基底層に陽性。単層立方~円柱上皮細胞に発現するCK7,8/18,19,20などは陰性となる。

■ p63 protein ( 別名:p51,p51/p63,Tumor protein p73 like:p73L,
Chronic ulcerative stomatitis protein:CUSP,Keratinocyte transcription factor:KET )

p63 遺伝子のコードするp63はp51とも呼ばれ、p73とともにp53ファミリーに属する。癌例においてはp53ほどの遺伝子変異は見られないが、ΔNp63が増加しており、特に咽頭癌、組織型では低分化扁平上皮癌などでその発現が多いという。またp63は皮膚や四肢の分化・形成に必須の蛋白とも言われ、表皮をはじめ様々な上皮組織の基底細胞にはΔNp63が発現している

■ Thyroid transcription factor-1 (TTF-1)

TTF-1は甲状腺濾胞細胞の核内でTSH受容体(TSHR)、Thyroglobulin(TG)、Thyroperoxidase(TPO)の発現を誘導する転写因子として発見されたのでこの名がついた。90年代後半くらいから甲状腺細胞診断における応用が注目されたが、他に肺でのSurfactant proteinやClara cell secretory proteinの発現に関係する"Pulmonary cell selective transcriptin protein"でもあることが判り、現在ではむしろ原発性肺癌と転移性肺癌あるいは中皮腫との鑑別においてよく利用されている。

■ Vimentin

Vimentin(Gene:10p13;VIM )は、間葉系組織の細胞骨格として広く分布している中間径フィラメント。Fibroblast intermediate filament(FIF)と呼ばれることもあるように間葉系細胞、特に血管と間質の支持組織によく反応するので、たいていの標本中には陽性となる細胞が含まれている。非上皮性腫瘍の基本的なマーカーとしてよく利用されるが、中間径フィラメントの中では最も”原始的”なものと言われており、腫瘍細胞などで複数の中間径フィラメントが陽性になる場合にはその一方がVimentinであることが多く、きわめて未分化な癌ではCytokeratinと共に陽性となる場合すらあるので注意が必要。

■ PAX5 (paired box gene 5), BSAP

近年登場してきた汎Bマーカー。B細胞系への分化の開始に必須なtrasncription factorである。
形質細胞には陽性とならない。(同じく近年登場してきたB細胞マーカーとしてのtranscription factorsであるOct-2, Bob.1は形質細胞にも陽性である。従ってこれらの組み合わせでは形質細胞(腫)はOct-2 +, Bob.1 +, PAX5 -となる)。lymphoblastic lymphomaのlineageの決定に有効。Reed-Sternberg細胞にも陽性。これを利用し、PAX5陰性であるanaplastic large cell lymphomaとの鑑別に用いることもできる。
lymphoma以外の腫瘍にも陽性とされ、また、これらにリンパ腫と類似した形態を示すものが含まれていることに注意が必要。

■ Desmin

筋組織(平滑筋・横紋筋)に特異的に局在する55kD,469aaの蛋白。筋原性腫瘍の鑑別診断に有用だが比較的分化の低いものではVimentin陽性、Desmin陰性のことがある。

■ Actin, α-Smooth Muscle Actin (SMA)

平滑筋 α-Actin(SM-α Actin)に対する抗体で、骨格筋・心筋とは反応しないので平滑筋分化マーカーとして平滑筋・筋上皮細胞由来の腫瘍の鑑別にCaldesmon、Calponinなどと共に有用。

■ Estrogen receptor (ER) Estrogen receptor α(ERα)

ステロイドホルモンであるEstrogenには乳腺や子宮内膜など特定の標的細胞に作用してその増殖を促進させる働きがあり、こうしたEstrogenの標的となる臓器に発生した癌の中にはEstrogenがその発育に深く関与しているものがある。そのようなEstrogen依存性増殖をする癌細胞の核内には核内受容体スーパーファミリーの一つであるEstrogenレセプター(ER)が強く発現している。

■ 広義のGIST (Gastrointestinal stromal tumor)と免疫組織化学

Gist

一般に、免疫組織化学的に平滑筋としての分化マーカーの発現がみられるものは筋原性腫瘍、S100など神経系マーカーの発現がみられるものは神経鞘腫として扱われ、両者の発現がみられないもの(Uncommitted type )が狭義の意味でのGISTとされる。狭義のGISTではCD34やc-kitの発現率が高く、特にチロシンキナーゼ型受容体であるc-kitの発現する症例では遺伝子の変異によるシグナル伝達の増強が腫瘍細胞の増殖を強く促すと考えられており、化学療法や放射線療法に強い抵抗性を示すことが知られており、化学療法や放射線療法に強い抵抗性を示すことが知られているが現在、「分子標的治療」としてシグナル伝達系を阻害する治療薬が承認されている。

■ ER・PgRの評価法
ER・PgRの免疫組織化学的な結果の表記に関してはまだ統一されたルールはない。
最近は「Allred sore」というものが紹介されている。①陽性細胞の比率を"Proportion score"(PS)とし、陽性細胞数が 0 %であれば"score 0"、1/100以下であれば"score 1"、1/100~1/10の範囲であれば"score 2"、1/10~1/3の範囲は"score 3"、3/1~2/3は"score 4"、2/3以上であれば"score 5"とする。
②さらに染色(呈色)性の強弱を"Intensity score"(IS)として、陰性を"score 0"、weak(弱陽性)を"score 1"、intermed.(中等度陽性)を"score 2"、Intense(強陽性)を"score 3"とする。③PSとISを足して"Total score"(TS)とし、TS=3以上を「ER陽性」とするというものである。

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