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2013年4月15日 (月)

原発不明がんと病理

日本における腫瘍内科はまだまだマイナーな分野と言わざるを得ない。
基本的に、ほぼ全ての臓器がんは各臓器別診療科で治療可能であるからして、
わざわざ腫瘍内科に頼まずとも、各科で普通に治療されているのが現状である。(涙)

しかし、そんな現状でも腫瘍内科の存在価値がちらっと光るパターンが三つほどある。
一つ目は、重複(多重)がん。
二つ目は、稀ながん(rare cancer)。
そして三つ目が原発不明がんだ。

臨床腫瘍学会から2010年に原発不明がん診療ガイドラインが発行されたのは、
日本のがん医療において大きな功績だったんじゃないかな、と個人的には思う。
だって「それじゃあ日本では今までどうやって治療してたんだ?」って思ったもの。

最近はPET-CTも普及して原発不明がんのevidenceが揃ってきたから出来たというのもあるだろうが、
ともかくそれらの情報をまとめて、日本で書籍化したってのはがん治療の均てん化に大きな意味を持っていたと思う。

というわけで前置きが長くなりましたが、今日は原発不明がんに関するお話です。
ちなみに↓の本も読んでみた感想も少し。

G

<原発不明がん-適切な診断・治療のポイント>

原発不明がんとして紹介されてくる患者には、往々にして「原発巣の検索不足がん」というpopulationが何割か存在する。
つまり原発巣推定に必要な検査が十分に行われていないということだ。
こういうpopulationに対して安易にTC療法とかやっちゃうと、酷い場合には治癒できる病気で患者を失ってしまう可能性すらあり得る。

変な言い回しだが、原発不明がんの治療は「診断」そのものであると言っても過言ではない。
この本は個別の症例提示の他、特に病理に大きくページが割かれており、
いかに診断をつけるかという事が強調されているように感じた。

がんの化学療法を行ってきて思う事だが、腫瘍内科医は病理の知識を身につけなくて良いのだろうか?
血液内科医は当然自分で塗抹標本を見る。外科医だって、自分が執刀した患者の組織像は見る。
腫瘍内科医も病理標本を見るべきなのでは??
病理医に全てを委ねて、その結果を鵜呑みにして治療を行っていて良いのだろうか?最近とみに思う事である。
病理医にも腫瘍病理に詳しい先生とそうでない先生が居るようだ。
そういう場合、腫瘍内科の医師が診断のDiscussionに加わることで少しは役に立てないだろうか、と。

しかし、かと言ってどこまで勉強するかというのもまた一つ問題だ。
がんを見ようと思ったら、まず正常組織像を知らなければならず、腫瘍内科がカバーする
全ての臓器を知ろうとと思ったら、それこそ病理医を目指すのと何ら変わらなくなってしまう。
うーん。悩ましい問題だ。どなたか良い案をご存じありませんか。

……閑話休題。

とにかくこの本は腫瘍内科医にはお勧めだと思う。原発不明がんの診断・治療についてまとまった知識が入る。
むしろ各臓器別科の医師にとっては、そこまで詳しくなくて良いかなという内容だと思う。
病理の内容は免疫染色マーカーについても詳しく記載されていて、特に参考になった。

後はこの本の巻末付近に書いてあったように、原発不明癌のマイクロアレイとか遺伝子診断が発達して
実臨床に活かせるくらいになってくれればなおよいと思う。
日本全体で原発不明がんの臨床試験とか研究とかやらないもんですかね?臨床腫瘍学会頑張ってよ。

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