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2013年11月11日 (月)

転移性膵癌へのnab-PTX (NEJM 2013.18.369)

医師blogといえば論文紹介の記事がまず思いつく。
かの有名な内科開業医のお勉強日記を始め、腫瘍内科勉強用ブログや、乳腺外科医のブログ呼吸器内科医など、
世の中の先生方は大変勉強されているなあと頭が下がる思いだ。

私など必要に応じて参考書や論文は読んでいるのだが、
きっちり論文を理解しようと思ったら一日で足りない。
しかしやはりキチンとした知識を身につけなければいけないと思う今日このごろ。
上記の諸先輩方には敵わないが、マイペースで私も論文紹介をしていこうと思う。

今日の文献は転移性膵癌1st lineでのnab-PTX + GEM vs GEM単剤のPⅢ試験の結果。

【序言】
in vivoでnab-PTXはGEMとsynergy効果を示しており、GEMの腫瘍内濃度を上げるらしい。
【方法】
対象患者はKarnofsky PS ≧70で90%が白人。アジア人は2%。日本からはentryなし。
検出力90%で両側検定 P<0.049, HR 0.769でデザイン。必要event数は608。
N=842、イベント数692。局所進行膵癌は含まれていない。

Primary endpointがOSでsecondaryがPFS, RR。ITTでcross over非許容。
スケジュールはnab-PTX 125mg/m2 day1, 8, 15
GEM 1000mg/m2で1コース目のみ毎週1回。2コース目から、day1, 8, 15の3投1休。

【結果】
併用群 : 単独群OS = 8.5ヶ月 : 6.7ヶ月 (HR 0.72, P<0.001) 観察期間中央値は9.1ヶ月 : 7.4ヶ月
PFSも 5.5ヶ月 vs 3.7ヶ月 (HR 0.69), 1年生存率は 35% : 22%。
RR = 23% : 7%, DCR = 48% : 33%

併用群におけるAEは倦怠感、脱毛、悪心が主。G3以上では好中球減少、末梢神経障害など。
併用群で41%がnab-PTXの、47%がGEMの減量を必要とし、RDIは85%だった。
末梢神経障害で中止となった患者も44%はほぼ1ヶ月以内に減量再導入できた。

【結論】
FOLIFIRINOXのMSTは11.1ヶ月だったが、75歳以上やPS2以上は除外されており、患者を選ぶ。
本試験は両者ともentryしており、Karnofsky PS ≦80のsub groupでも併用群favorable。
ということで、多くの患者で治療選択肢になりうると考えられる。

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【私感】
本試験では局所進行膵癌は除外されており、ASCO2013の発表でも局所進行膵癌にはerlotinibの
上乗せが無い可能性が指摘されていた。臨床でも確かに転移巣と原発巣で反応に違いがある例を経験する。
heterogeneityなのか? 今後もっと研究が必要そう。
この試験でもGEM+erlotinibの試験でも65歳以上のsub groupはHRが1をまたいでいたが、高齢者には効きにくいようだ。何か理由があるのだろうか?
本治療はその内日本でも保険適応される見込みとか。

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