« 成人がん患者へのインフルエンザワクチン (Cancer 2013; 119; 4028-4035) | トップページ | 化学療法rechallengeについて(Nat Rev Clin Oncol. 2013; 10:571-87) »

2014年1月 1日 (水)

切除可能肝転移を持つ大腸癌患者へのperioperative chemoの有用性 (Lancet Oncol 2013; 14; 1208-15)

切除可能肝転移を持つ大腸癌患者に対し、術前後に6コースずつ、合計12コースのperioperative FOLFOX4を行う有用性を検証したRCT。
試験群にはperioperative FOLFOX4を、対照群にはOpeのみを行っている。PFSについては2008年に発表されており(Lancet. 2008; 371:1007-16) 試験群が有意に延長という結果。今回はmedian follow upが8.5年経った時点でのOSについて、追加報告がされている。結果的にはOSにおいて2群に有意な差は無かった。

この試験には、過去に原発巣を切除されており肝転移再発した症例も含まれている。(だからDFSではなくPFSという言葉にしてあるのか?) Primary endpointはPFSで、今回のOSについては後付け解析であり、あくまで参考値。しかし8.5年の長期予後についての結果なので、このようなデータを示してくれた事は有り難いと思う。

---
この論文で勉強になった点は、competing risk(競合リスク)について。
例えば複数イベントをoutcomeにしている場合、一方のイベントが起こると、他方が起こらない、という事がある。このようなイベント間の関係を競合リスクと呼ぶ。
この論文においては、がんが再発する前にがん以外の要因(例えば交通事故)で死亡が起こると、その症例はそこで打ち切りとなる。つまりがん再発に対してがん以外の死因は競合リスクである。このような場合、通常の比例ハザードモデルで生存曲線を書くと、がん再発を過大評価してしまう事になり正確な結果が得られない。そこで競合リスクを考慮に入れたKaplan-Meier曲線を描く必要があるという事のようだ。Discussionでは、結果的に競合リスクによる死は両群で差がなかったと記載があった。

---
ところで、この結果を実臨床にどう活かすかは難しいところだが、私個人としては試験群の術前chemo中にPDとなってしまった患者が居る時点で、そのまま臨床に導入するのは難しいと思う。今回はperioperative chemoという設定であったが、本当に術前・術後という設定に意味があるのかは不明で、先に切って術後に6ヶ月(つまりadjuvant)としてやってもあまり結果は変わらないのではないかと思う。つまりchemoが入ること自体に意味があるということで。

そういう拡大解釈を考えると、実際切除可能肝転移患者にadjuvantを行うかどうかという臨床的疑問には応用できそう。OSが変わらなくてもPFSが伸びれば、患者の精神的QOLは向上する可能性もある。逆にOSが変わらなければ2週間毎の治療と、有害事象(特に、後々残るL-OHPの神経障害)を患者に与えてまで、chemoをやる意味は無いとも考えられる。この辺は実臨床の医師の考え方と、患者のtolerabilityによるだろうか。

この論文ではキチンと勉強すれば色々と吟味が出来そうな点がありそうなのだが、なかなかまとまって勉強できる時間が取れなかったので、ひとまず今回はこのエントリーを書くだけ書いて一旦終了としようと思う。まとまらない記載になってしまい申し訳ない。

|

« 成人がん患者へのインフルエンザワクチン (Cancer 2013; 119; 4028-4035) | トップページ | 化学療法rechallengeについて(Nat Rev Clin Oncol. 2013; 10:571-87) »

論文」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/51632/58864320

この記事へのトラックバック一覧です: 切除可能肝転移を持つ大腸癌患者へのperioperative chemoの有用性 (Lancet Oncol 2013; 14; 1208-15):

« 成人がん患者へのインフルエンザワクチン (Cancer 2013; 119; 4028-4035) | トップページ | 化学療法rechallengeについて(Nat Rev Clin Oncol. 2013; 10:571-87) »