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2016年1月21日 (木)

切除不能肝内胆管がんに対する破壊的RT線量の後方視的解析 (J Clin Oncol. 2016;34:219-26.)

いやー、気が向いたから久しぶりに更新しちゃうよ!

MDアンダーソンで行われた手術不能肝内胆管がん(IHCC)に対する、高線量照射の効果についての後向き検討。
2002年~2014年にRTが行われた79人の手術不能IHCC患者を後向きに調査し、生物学的等価線量(Biological equivalent dose: BED)が80.5Gyより高いか、低いかで調べた所、高BED群がOS,局所制御ともに良かったという報告。

背景:
IHCCは稀ながんで診断時手術可能な症例は30%程。それ以外はGEM+CDDPやablationとか塞栓術とかが行われるがMSTは7-12ヶ月。RTの効果についてはcontroversial。しかし最近IMRIや画像誘導(image-guided RT)などによる精密な照射が可能になった。筆者らの施設では腫瘍中心の低酸素部分にsimultaneous integrated boost(SIB)をかけている。
(※Figureによると腫瘍中心部に100Gy/25Fr、肉眼的腫瘍体積(GTV; gross tumor volume)に75Gy/25Fr。ただし、周辺にリスク臓器(胃など)がある場合はmarginを設け、最大でも45Gyしか当たらないように計画標的体積(PTV; planning target volume)を設定する)

方法:
2010年以降筆者らの施設では上記のような高線量照射を試行してきたが、2002年からretroに調査してBEDと腫瘍効果の関連について調べた。単施設後向きcase control studyで対象は79人。切除不能なのでStageはⅠ~Ⅳまで様々。緩和的照射は除外。照射法は6-MV光子線3次元IMRT or 受動散乱法。照射野の設定は上述の通りだが、過去に行っていた計画では最低50.4Gy以上照射をconventionalに行っていた。画像誘導あり。

結果:
median BED 80.5(58.05Gy/15Fr)だったので、(BED>80.5(19人) or BED≦80.5(60人)で群を分けた。背景因子で有意に異なったのはmedian PTV。
観察期間中央値は30ヶ月で、成績は3年局所制御割合 78% vs 45%, 3年生存率は73% vs 38%でBED>80.5群が有意に良かった。
予後因子の単変量解析では年齢、性、人種、PS、治療前原発巣サイズ、肝内衛星病変、遠隔転移の有無はOSに影響せず。BEDとCA19-9のみが予後因子。多変量解析ではBED, 原発巣サイズ、衛星病変、CA19-9, PSを変数とするとBEDは独立した予後因子として残った。毒性は軽度であった。

考察:
既報でもRT doseと予後との関係は示唆されている。一般的な予後と比べてもBED>80.5の群は予後が良い。本治療の有用性を大規模に探索することが望まれる。NRG-GI001試験(BED 97.88Gy)という試験が現在走っている。

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感想:
後向き研究がJCOに載るなんて珍しいと思って読んだが、結局この報告のimpactは論文内のBED間での比較ではなく、高BEDで治療した患者の予後が著しく良いという点なのだろう。たしかに切除不能IHCCで3年生存率が73%というのは、patient selection biasが例えかかっていたとしても結構驚異的な数字だと思う。

この論文と同じ号に「To RCT or Not to RCT: How to Change Practice for Rare Cancers? JCO:2016, 34:203-205」という論説が載っており、この報告の結果を例に稀少がんのPracticeを変えるためにRCT以外のやり方を模索できないかという内容が載っていた。結論は学会などが中心となってData baseを作り、観察研究を行いやすい環境を作るべきだとまとめられていたが、確かに大規模Data baseは今後ますます重要になるのかも。

ところでBEDという概念は今回はじめて知ったが、要約すると同じ10Gy照射するのでも、1回で当てるのと5回に分割するのでは、生物学的に与える影響は違うよということらしい。BED= nd(1 + d/[α/β])という式で表され、nは照射回数、dは1回線量。α/βは放射線の影響の強さで、臓器などによって異なる。例えば粘膜やがんは10、その他正常細胞は3くらいというのが一般的に知られているそうだ。だから上記の例では10Gy/1Frと10Gy/5Frががん細胞に与える影響は、各々1x10(1+10/10)=20Gy, 5x2(1+2/10)=12Gyとなって異なる事がわかる。うーん、なるほど。(詳しい説明はこちら

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