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2016年2月 3日 (水)

大腸がんFIRE-3試験における、後治療の生存への影響 (J Clin Oncol. 2015 ;33:3718-26.)

PFSでは差がないのにOSで差がつき、色々論議を醸しだしたFIRE-3試験の2次治療以降についてのデータ。
色々調べてあって手間がかかったろうなーと思う内容。

結果のまとめ:

FIRE-3のITT患者数は592人 (FOLFIRI+C-mab:A群 297人 vs FOLFIRI+B-mab:B群 295人)
内1次治療で死亡した89人と、Opeに行った72人 (残り17人は不明??)を除いた
414(69.9%)は2次治療に移行し、その内訳はA群 213人(71.7%) vs 201人(68.1%)
256(43.2%)は3次治療に移行し、その内訳はA群 133人(44.8%) vs 123人(41.7%)

全てのlineを含めたB-mab, C- or P-mabのクロスオーバー割合は47.1% vs 52.2%でA群やや少ない。
l-OHPの使用割合は55.9% vs 53.2%で概ね同等。

2次治療のPFSは6.5 vs 4.7ヶ月で有意にA群が良好。RRは19.7% vs 20.9%でほぼ同等。
2次治療からのOSも 16.3 vs 13.2ヶ月で有意にA群が良好だった。

2次治療の治療期間中央値は5.0 vs 3.2ヶ月でA群が有意に良好。
2次治療のl-OHP使用期間中央値は 4.6 vs 3.2ヶ月でA群が有意に良好。
2次治療のクロスオーバーした抗体薬の使用期間中央値は 5.6 vs 3.5ヶ月でA群が有意に良好。
2次治療で殺細胞性薬剤・抗体薬両方ともクロスオーバーした患者のPFSは6.3 vs 5.7ヶ月で有意差無し。
(つまりA群ではl-OHP based+B-mab, B群ではCPT-11 based+C-,P-mabを使った患者で、各々38人 vs 67人)

最後に2次治療以降で抗体薬をクロスオーバーした群や、l-OHPを使用した群は、
クロスオーバーしなかった群やl-OHPを使用しなかった群に比べて1次治療からの予後が悪い傾向にあった。


筆者の考察としては、結局2nd lineで差がついたことが全体のOSで差がついた事の理由であり、
そのメカニズムとしては抗EGFR抗体後にB-mabを使うというストラテジーが大事と述べている。
根拠として、動物モデルの実験ではC-mab抵抗性の腫瘍はVEGF発現が亢進し、抗VEGF抗体感受性が高まっているという報告があると。

また興味深い点として挙げられていたのは、2次治療以降で抗体薬やl-OHPをクロスオーバーしなかった方が予後が良い傾向にあったという点。
この点についても筆者は、結局OSに寄与するのは2次治療での薬剤選択ではなく、1次治療からの治療順序なのだと述べていた。

---以下、感想---

結局この試験に関しては2次治療がOSに寄与したという結果になった訳だが、色々解釈が難しい点があると思う。
一番はやはりクロスオーバーしなかった方が予後良好という点についてで、大腸がんchemoをやっている人間からすると驚きの結果。
これについて筆者らは治療のsequenceが重要と結論づけてはいるが、よく考えてみるとクロスオーバーしなかった群には、
最も予後に影響するとされている"1次治療でCR or PRとなり根治切除に行けた症例"が入っているのだろうか?
それが入っていれば、結局1次治療しかしない患者が予後を延ばしているのだから、このデータの解釈には注意が必要だと思う。

それと個人的に気になったのは、2次治療でクロスオーバーした患者の数。
A群でFOLFIRI+C-mabがfailureしたら普通はl-OHP based + B-mabだと思うが、2次治療でそれを行ったのはわずか67人(約31%)
これは流石に少なすぎないか??
B群でも、まあBBPがあるから少なくなるのは仕方ないとしても38人(18.9%)ってのは流石に少ない感じがする。
この辺りは筆者がlimitationで述べているが、私達の日常診療とやや相違を感じる点ではある。

それと、2次治療のPFSで1.8ヶ月の差がOSでは3.1ヶ月に広がるのは何故だろう?
3次治療以降にも1次治療の影響が及んでいるという解釈は流石に受け入れがたい……。
今回の筆者らの結論もやはり一つの仮説であって、日常診療を大きく変えるまでには行かないというのが個人的な感想だった。

ただ色々バイアスのかかった結果とはいえ、臨床試験の追跡をきちんとここまでまとめた筆者らにエールと感謝。
この辺の検証は現在進行中のSTRATEGIC-1やPARADIGM試験で前向きに行われると思うのでその結果を待ちたい。

そういえば、Depth of Responseには一言も触れていないがどうなったのだろうか (迫真)

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