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2019年3月 8日 (金)

GEPを用いた原発巣推定に基づく原発不明がん治療 (J Clin Oncol. 2019;37:570-579)

やあやあ、こちらの更新をサボりまくっていますが、一応生きている私です。
つい先日のJCOに出た日本のRPⅡの論文報告です。結果はnegativeだったんですが原発巣推定→それに応じたがん治療が否定されたわけでは無いと思います。
原発巣推定の仕方、実際に集まった患者の内訳、古い治療方法などが、ポイントだと思います。

~・~・~

本研究のprimary endpointは1年生存割合。
経験的治療群(CBDCA+PTX) vs 原発推定治療群が各々54.9% vs 44.0%で、有意差なし。むしろKaplan-Meierは経験的治療群のほうがやや良さそうという結果で完全なnegative試験でした。
化学療法が効きやすい(More responsive)がんと、効きにくい(less responsive)がんの区別はできているが、各々の結果も原発巣推定群の治療結果はいまいち。なかなか難しいですね、このあたり。

筆者も述べているように下記様々なlimitationが考えられています。

① 推定原発巣の不均衡。
② 卵巣がんなどは両群であまり治療が変わらない。 
③ レジメンが古い (リクルートが2008-2015というのがね・・・)
④ 原発巣推定に時間がかかり、途中で患者が脱落した。

私見では、今回の結果に基づくとCBDCA+PTXに勝つのはなかなか至難の業なような気がします。More responsiveかつ卵巣がんなどを除いた対象に絞り、さらにCBDCA+PTXと比べ大幅に効果が高い治療が存在するがん種で戦わないと、結局有意差は出ないんじゃないでしょうか。
つまり原発不明癌だけを漫然と集めると、研究毎に推定原発巣のheterogenityが出て結果が一定しないことになるので、上記の対象癌の治療成績をprimaryなどにおいて、効果があるかないかをまず見てはどうなんだろうと思います。
今回の結果を見ると膵癌が一番多かったようですし、実際は患者数の点から難しいのかもしれませんけどね・・・。サブグループ解析で出して何か分かれば良しとするしかないのでしょうか。

それと、私としては原発不明癌の治療はやはり原発巣推定がキモだと感じていますが、この推定方法も研究毎になかなか一定しませんね。今回はmicroarrayでgene expression profileを確認し、それに近い原発巣を推定するという方法でしたがin silicoで88%のaccuracyとの記載。これは良いのかどうなのか私にはわかりませんが、数字としては何となく低い気がします。

RCTではないですが、メチル化アレイによる原発巣推定(Lancet Oncol 2016; 17: 1386-95)は良さそうな結果も示唆されています。現在今NGSを用いて原発巣推定をする次のPⅡ(UMIN000016794)が行われていますし、未だこの分野は混沌としていますね。そろそろ何か統一した方法で、大きな試験を組んで欲しいです。

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